心エコー検査とは?
心エコー(心臓超音波)検査とは、超音波を利用して心臓の状態を見ることができる検査です。心臓を輪切りにして、形態や動きを知ることが出来ます。CT検査などとは違い、被爆の危険性もないため、臨床でよく行われる検査です。
心エコー検査で何がわかるのか?
- 心臓各部位の大きさ・形態を計測できます
- 心臓各部位の動きを観察し、心機能がわかります
- 心臓内の圧や血流を推測し、血行動態がわかります
検査の方法と使い分け
- 経胸壁心エコー(TTE;trans-thoracic echocardiography)
- 臨床で非常によく利用される。ポータブルで測定できる物もあり、患者さんのベッド再度でも簡易的に評価が可能。
- 経食道心エコー(TEE;trans-esophageal echocardiography)
- プローブを飲み込んでもらい、心臓の後方を食道からみる検査。左心房や僧帽弁を詳細に観察でき、左房内血栓、左房内血栓、感染性心内膜炎(IE)の疣贅(ゆうぜい)、心臓弁膜症を中心とする術前および術中の評価に利用される。
画像モードの種類
- Aモード(縦軸に反射波の強さを、横軸に境界面の距離を表示)
- Bモード(超音波の反射を輝度として画像化)
- Mモード(動きを、時間経過で横軸方向に表示)
- 超音波ドップラー法(ドップラー効果を利用して流速や方向を測定)
基本的な断層像
- 傍胸骨左縁長軸断層像:左室流出路と心尖を結ぶ方向
- 心尖部四腔像
- 傍胸骨左縁短軸断層像:長軸に直行する方向
病気がみえるvol.2 循環器p42 より引用
レポートの見方:患者さんの心臓の特徴を捉える
心エコー検査のレポートにはたー--くさの情報が載っています。
全部は見れません!(笑)
コメディカルの場合、患者さんの心臓の特徴をなんとなく捉える程度でOKです!
レポートは、まず以下の項目だけ見るようにしましょう。
- 大きさ・形態
- 左室(LVDd/s)、左房(LAD、LAVI)
- 心機能
- 収縮能(EF)
- 拡張能(E/e’、LAVI)
- 弁膜症の有無と重症度
- AS・左室流出路狭窄の有無(特にAS severe、肥大型心筋症、SAMを確認)
心臓の大きさ、形態を見る
”心エコーで検査で何がわかるのか?”で説明した、大きさ・形態について、です。
専門の医師が見る場合、たくさんの項目を見ます。
しかし、コメディカルの場合は医師と同じように見る必要はありません!
以下の項目だけで十分です。
- 左室の形態
- 左房の形態
左室の形態 | 男性(正常値) | 女性(正常値) | 異常値 |
左室拡張末期径(LVDd)mm | 48 | 44 | 55mm以上 |
左室収縮末期径(LVDs)mm | 30 | 28 | 44mm以上 |
左房の形態 | |||
左房径(LAD)mm | 32 | 31 | 40mm以上 |
左房容積係数(LAVI)ml/m2 | 24 | 25 | > 34ml/m2 は 拡張障害の可能性あり |
上に載せた値は、 ”心腔計測におけるガイドライン 2015年 ダイジェスト版”や”2021年改訂版 循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン”を参考に記載しました。本や論文によって正常値は微妙に異なるということを覚えてください。
心機能を見る
- 収縮能(Left Ventricle Ejection Fraction:EF%)
- 心機能の代表的な指標。左室の収縮力(心臓が血液を送り出す機能=ポンプ機能)を表します。
- 拡張能(E/eʼ イーバーイープライム)
- 心臓の拡張のしやすさ(血液を取り込む機能)を表します。
- 拡張機能が低下するということは、左心室が硬くなり広がりにくくなっている状態を指し、左心室に血液を取り込む際に高い圧(力)が必要となるため心臓に負担がかかります。
収縮能・拡張能 | 男性 | 女性 | 異常値 |
収縮能(EF)% | 55 | 40%未満 | |
拡張能(E/eʼ) | 7.4 | 7.9 | > 14 |
しかし、米国フラミンガム研究のデータを解析した報告では、EF 55%を境に心血管イベントや死亡リスクが異なるとされています。つまり、
弁膜症の有無と重症度
- 心臓弁膜症の種類
弁膜症は弁口面積(弁の血液の通り道)が小さくなり、血液が押し出しにくくなる”狭窄症”と、弁の閉まりが悪くなる、”閉鎖不全症”があります。
★1 三尖弁狭窄症(TS)、三尖弁閉鎖不全症(TR)
★2 大動脈弁狭窄症(AS)
★3 大動脈弁閉鎖不全症(AR)
★4 僧帽弁狭窄症(MS)
★5 僧帽弁閉鎖不全症(MR)
参考・引用:心臓弁膜症のポイント | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)
ほとんどは大動脈弁か僧帽弁の疾患です。
その中でも覚えておくべきなのは、重症大動脈弁狭窄症です!
2021年改訂版循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン
重症大動脈弁狭窄症は、、、
・最大血流速度:4.0m/s 以上
・平均圧格差 :40mmHg 以上
・弁口面積 :1㎠/㎡ 未満
と、覚えましょう!!
重度大動脈弁狭窄は手術適応があり、一般的な運動療法は禁忌となっています。
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