心不全に対するリハビリの流れ・要点をまとめます。
心不全患者に対してリハビリを実施する上で、病態の把握は必須です。心不全の病態に関しては、別記事をご覧ください。
病期別のリハビリ
心臓リハビリテーションに関するPhaseⅠ~Ⅲ
今、患者さんはどのPhaseにいて、何を目的にリハビリしているか、を明確にすることがとっても大切。
リハビリを実施する際に確認すること
心不全の原因
心エコー
採血データ
心電図
服薬・投薬状況
Phase Ⅰ 急性期のリハビリ
このPhaseでは、離床プログラムが遂行されます。
まずは患者さんの治療状況を見ながら、病棟内でのADL獲得(病棟内歩行自立 or 元のADL獲得)を目標にリハビリを進めていきます。
離床を進める際に重要なのは、急性期合併症の監視・治療です。
この、”気を付けるべき急性期合併症”は、患者さん毎の心不全の原因により、異なります。
どういうことかと言いますと・・・
例えば、
虚血性心疾患が原因で心不全に陥っている場合、PCIなどで原疾患(虚血)が治療されていない状況で離床・運動を行っていく際には、虚血性の変化が生じてくる可能性に特に注意します。
具体的には、心電図モニターでST低下や不整脈に注意する、自覚症状では胸痛などに注意することが重要です。
新規発症の心房細動(Af)や慢性Afによる頻脈で入院された場合、おそらく様々な薬剤により不整脈のコントロールがなされると思いますが、そこから離床・運動を行っていく際は、抑えられていた不整脈や頻拍が、再燃しないかどうか、または離床・運動時に血圧が適正に保たれているかなどに注意を要します。
このように、PhaseⅠでリハビリを行う場合、各患者の心不全の原因や治療状況を把握しておくことが急性期合併症の監視・治療を行う上でとても重要になります。
Phase Ⅱ 回復期のリハビリ
■前期回復期(Early PhaseⅡ)
病棟内でのADL獲得(病棟内歩行自立 or 元のADL獲得)ができれば、その後が前期回復期になります。
この時期のリハビリはADL練習から運動療法に移行します。
可能であれば、CPXや6MDの運動負荷試験や下肢筋力、SPPBなどの下肢機能評価を行い、個別に運動処方を行います。
運動処方を基に、リハビリ室でレジスタンストレーニングや有酸素運動を監視下(運動中の血圧や不整脈の有無、自覚的運動強度の確認を監視する)で行っていきましょう。
運動処方の方法に関しては別記事で解説しています。
また、退院後の生活や疾病管理を見越して、服薬や食事の指導、疾病教育を運動療法と並行して進めていきましょう。外来心臓リハビリへのリクルートメントもこの時期に実施します。
■後期回復期(Late PhaseⅡ)
退院後のリハビリがこの後期回復期の時期にあたります。
この時期は(外来での心臓リハビリテーションを経て)、在宅で自分で運動療法を実践できるように促していきましょう。
最終的な目標は“自分で運動療法を含む適切な疾病管理を行える”ことです。
この疾病管理のポイントは適切な運動療法(強度・頻度・時間が適切)、服薬(適切な時間に飲み忘れない)、食事や嗜好品(自分に適した食事、禁煙など)の3つです。
Phase Ⅲ 維持期のリハビリ
外来心臓リハビリも終了し、いよいよ完全に自分で疾病管理を行っていく時期です。
これまでに行った運動療法や食事・服薬、再発予防のための生活習慣をしっかりと継続していけることがこの時期の目標です。
この取り組みが継続して行えるかどうかは、Phase Ⅱ(回復期のリハビリ)までの取り組みがしっかり行えているかどうかがカギになります。
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